個人再生で財産があるとなくなるの?

借金返済ができなくなったら、個人再生などの債務整理によって解決する方法がもっとも効果的です。ただ、債務整理をすると自分の財産までなくなってしまうイメージがありますが、個人再生をすると、財産が無くなることがあるのでしょうか?

 

今回は、個人再生をするときに自分の財産があると、なくなってしまうのかどうかを説明します。

 

 

個人再生では財産がなくならない

個人再生をすると、借金の返済額を大きく減額してもらうことができます。このことによって、借金問題を効果的に解決することができますが、個人再生をすると、自分の手持ちの財産がなくなってしまうのかが問題です。

 

借金がある場合でも、他に預貯金や不動産、自動車などを持っているケースはあります。個人再生をすると、これらの財産を差し押さえられたり没収されてしまったりすることがあるのでしょうか?

 

この点、個人再生では、財産をとられることはありません。

 

よってどれだけ多額の預貯金があっても、生命保険に加入していても、車を所有していても家があっても個人再生によってそれらの財産がなくなることはありません。

 

退職金についても、見込額の8分の1の金額が財産とみなされて報告が必要になりますが、そのことによって退職金を受け取れなくなるわけではありませんし、減額されることもありません。

 

自己破産のように、退職金の対価として何らかの支払いが必要になることもありません。

 

自己破産をすると、生活に最低限必要な分以外の財産はなくなってしまうので、それと比べると個人再生のメリットは大きいです。

 

ただし、車のローンを支払っている場合で、車の名義がローン会社にとどめられているケース(所有権留保があるケース)では、車のローンを個人再生の対象にするためローン会社に車を引き上げられてしまうリスクがあります。

 

以上のように、個人再生をしても基本的に債務者の財産は無くならないので、まずは安心して良いのです。

 

 

個人再生では財産の報告が必要

それでは、個人再生では、債務者の財産はまったく問題にならないのでしょうか?

 

そういうわけではありません。個人再生では、裁判所に対して債務者の財産の報告をしなければなりません。

 

具体的には、預貯金や生命保険、車や不動産、株券、ゴルフ会員権などの各種の財産についてまとめた財産目録を作成して裁判所に提出します。

 

財産目録には、きちんと正確に自分の財産内容と評価を書き入れる必要があります。このとき虚偽の記載をすると、後に説明するように個人再生に失敗してしまうリスクが高まります。

 

 

個人再生で財産があると、返済額が増える

個人再生では、財産があってもなくなりはしませんが、正確に財産目録にまとめて裁判所に報告する必要があります。これはいったいどのような目的によるものなのでしょうか?

 

このことは、個人再生の精算価値保障原則と関係します。精算価値保障原則とは、個人再生をする場合、債務者が所有している財産分については最低限支払をしなければならない、という原則です。

 

つまり、個人再生をするとき、財産を持っていると、その財産の評価分は最低限弁済が必要になります。

 

精算価値保障原則が認められるのは、以下のような理由です。

 

個人再生を利用すると、借金返済額が大きく減額されます。このとき、債務者が多額の財産を持ったまま借金だけを減額してもらうことができるとすると、債権者が不当な不利益を負います。

 

そのようなことであれば、債務者を自己破産させて、財産をすべて換価して配当してもらった方が良い、ということになってしまいます。

 

そこで、個人再生をするときには、自己破産する場合との均衡をはかるためにも、債務者の手持ちの財産分までは最低限支払いを必要としたのです。

 

以上のように、個人再生をするとき、多額の財産があるとその分支払いが必要になる返済額が増えるので、注意が必要です。多額の資産がある人が個人再生をすると、借金を思ったほど減額してもらえない可能性があります。

 

 

精算価値保障原則が個人再生に与える影響の具体例

次に、精算価値保障原則が個人再生に与える具体例を確認しましょう。

 

個人再生をする場合に財産を持っていると、どのくらい借金の返済額が変わるのか、という問題です。

 

 

財産が50万円のケース

まず、借金額が500万円で財産が50万円の人のケースを考えます。このとき、最低弁済額は100万円なので、借金は100万円まで減額してもらうことができます。

 

財産は50万円なので、借金額に影響することはなく、借金返済額は100万円で固定されます。

 

 

財産が300万円のケース

次に、借金額が500万円でも、財産が300万円ある人のケースを考えます。

 

このとき、最低弁済額は100万円ですが、財産が300万円あるため精算価値保障原則がはたらいて、借金を300万円以下に減額してもらうことができません。

 

そこで、この場合には借金返済額は300万円となってしまいます。

 

 

財産が500万円のケース

さらに、借金額が500万円で、財産が500万円ある人のケースを見てみましょう。

 

この場合、最低弁済額は100万円ですが、精算価値保障原則がはたらくので、借金を500万円以下に減額してもらうことができません。

 

そうなると、このケースでは個人再生をしても借金を一切減額してもらえないことになります。

 

以上のように、個人再生では、多額の財産があると利用する意味が小さくなってきます。

 

個人再生をするかどうか検討する場合には、自分の総財産の評価がどのくらいになっているかについても注意する必要があります。

 

 

個人再生で財産隠しがあるとどうなるのか?

個人再生では、多額の財産があると返済額を減額してもらいにくくなるので、債務者にとってメリットが小さくなります。

 

そこで、裁判所に対して財産を少なめに申告して、虚偽の財産目録を提出することがあります。このようなことをすると、どうなるのでしょうか?

 

個人再生では、財産隠しは認められていません。ま

 

ず、個人再生の手続き中に、虚偽の内容の財産目録が提出されたことがわかったら、個人再生手続きが廃止されてしまうおそれがあります(民事再生法237条2項)。

 

また、少ない財産を前提にして借金支払額を計算し、再生計画案を作成した場合には、その再生計画案は認可されず(不認可)、個人再生に失敗します(民事再生法231条、174条)。

 

以上のように、個人再生では債務者の財産内容は借金の返済額を決定する重要な要素なので、これについて虚偽の報告をすると手続き自体に失敗してしまうことになります。

 

さらに、個人再生の手続き中には裁判所に財産のごまかしがバレずに、再生計画案が認可されたとしても、問題が起こります。

 

この場合、再生計画案の認可決定後に何らかの原因で財産隠しがあったことが判明する可能性があります。

 

すると、せっかく認可してもらった再生計画案が取り消されることになり、借金の減額がなかったことになってしまいます。

 

そうなると、個人再生を申し立てる前と同じ状況に戻るので、債権者から借金全額の支払い請求をされますし、債権者からの信用もなくなるので、再度の個人再生申立も難しくなります。

 

このように、個人再生で財産隠しをすると、いろいろな場面(手続き進行中及び終了後)で個人再生手続き自体に失敗するリスクが高まります。

 

手続きを利用する場合には、くれぐれも公正な方法をとることが必要です。正直に財産内容を報告しながら個人再生で借金を減額してもらいましょう。

 

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